塗料の種類はさまざまで、お家の塗り替えを検討しているお客様は、どれを選べばいいのか迷われることも多いです。
塗料の種類は、専門知識のある塗装店に相談して決めるのが一番ですが、塗装店任せせず、基本的な知識を持った上で相談するほうが安心です。
本記事では、住宅塗装で使われる塗料の種類について、アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素などの樹脂タイプや、1液型と2液型、水性と油性、艶ありと艶なしなど、主な分類の仕方に分けて解説します。
最適な塗料を選び、満足のいく住宅塗装を実現しましょう。
アクリル塗料は、耐久年数が5~7年と短めで、1平方メートルあたりの単価は1,400~1,600円です。価格が比較的安く、DIYで使用されることが多いですが、耐久性が低いため、専門業者はあまり使いません。ただし、最近の技術で改良されたピュアアクリルやパーフェクトトップといった製品は、耐久性が向上し、専門業者でも使用されるようになっています。
ウレタン塗料は、耐久年数が8~10年で、1平方メートルあたりの単価は1,700~2,200円です。かつては外壁や屋根の塗装に広く使われていましたが、現在ではベランダや屋上の防水工事での使用が主です。シリコン塗料が普及する前の主流でしたが、現在では使用が減少しています。
シリコン塗料は、耐久年数が10~15年と比較的長く、1平方メートルあたりの単価は2,300~3,000円です。一戸建ての外壁塗装では最も一般的に使用されており、7~8割がシリコン塗料です。価格と耐久性のバランスが良く、艶やカラーバリエーションの豊富さが人気の理由です。
シリコン塗料の製品として、塗料メーカー各社から下記のようなものが展開されています。
塗料製品名 | メーカー |
---|---|
クリーンマイルドシリコン | エスケー化研 |
ファインシリコンフレッシュ | 日本ペイント |
セラMシリコン | 関西ペイント |
シリコンREVO | アステック |
ビュートップシリコンDX | 菊水化学工業 |
ナノシリコンW | 水谷ペイント |
ユメロック | ロックペイント |
Vシリコンマイルド | 大日本塗料 |
フッ素塗料は、耐久年数が12~15年で、1平方メートルあたりの単価は3,800~4,800円です。シリコン塗料よりも高価ですが、耐久性がさらに優れています。特に屋根の劣化が早い場所に適しており、外壁塗装との組み合わせで使用されることが多いです。
フッ素塗料の製品として、塗料メーカー各社から下記のようなものが展開されています。
塗料製品名 | メーカー |
---|---|
セラタイトF | エスケー化研 |
ファインフッソ | 日本ペイント |
スーパーフッソ | 関西ペイント |
フッ素REVO | アステック |
SPパワーフッ素 | 菊水化学工業 |
水系パワーフロン | 水谷ペイント |
サンフロンルーフ | ロックペイント |
ビューフッソ | 大日本塗料 |
無機塗料は、シリケートや無機酸化物を基材とする塗料で、高い耐久性と耐候性を持ちます。化学的に安定しており、紫外線や酸性雨に対して強い抵抗力を示します。特に外壁や屋根に使用され、長期間にわたって劣化しにくいです。また、防火性にも優れています。
樹脂で分類したときの塗料の種類については、下記のページでも解説しています。
https://suzukaku-paint.com/column/post14175/
下塗り塗料は、塗装工程の最初に使用される塗料です。プライマー、シーラー、フィラーといった種類があり、色は、透明、白、グレーが主流です。
下塗り塗料は、上塗り塗料が塗装面にしっかりと密着するようにするための重要な役割を果たします。下塗り塗料は、塗装面に塗料が吸い込まれるのを防ぎ、上塗り塗料の性能や耐久性を最大限に引き出すために必要です。
仕上げ塗り塗料は、中塗りと上塗りの工程で使用される塗料です。最終的な色や光沢、耐久性を提供します。仕上げ塗り塗料は、外観の美しさを高めるだけでなく、外壁や屋根を紫外線や雨風から保護する役割も担います。
種類によって耐候性、防汚性、遮熱性などの性能が異なり、シリコンやフッ素などの素材が使用されます。適切な仕上げ塗り塗料を選ぶことで、塗装の耐久性が向上し、メンテナンスの頻度を減らすことが可能です。
艶あり塗料は、塗装面に光沢を与えるため、新築のようなピカピカの仕上がりを実現します。表面が滑らかで汚れがつきにくい特徴があります。そのため、外壁や屋根に使用すると、清潔で新しい印象を長期間保つことができます。ただし、光沢が強いため、太陽光を反射して眩しいこともあり、特に屋根に使用する場合は注意が必要です。
艶なし塗料(艶消し塗料)は、落ち着いた雰囲気を演出し、周囲の景観と調和しやすいのが特徴です。光沢がないため、汚れが目立ちやすく、また、塗料の耐久性がやや低くなる傾向がありますが、スタイリッシュで高級感のある仕上がりが得られます。艶なし塗料は、特に古い建物や日本瓦を使用している家屋などに適しています。
艶あり塗料と艶なし塗料については、下記のページで詳しく解説しています。
https://suzukaku-paint.com/column/post11529/
水性塗料は、水を主体とする液体に塗料が混ぜられているため、刺激臭が少ないのが特徴です。作業中に気分が悪くなる心配がなく、ご近所への迷惑も少ないため、室内の塗装に向いています。ただし、素材によっては直接塗装できない場合があり、下準備が必要です。
油性塗料は、シンナー等の溶剤を使用しているため特有の刺激臭があります。耐久性が高く、金属にも塗装しやすいですが、室内での使用には向いていません。乾燥が早く、手早い作業が求められます。価格は水性塗料よりやや高めです。
水性塗料と油性塗料については、下記のページで詳しく解説しています。
https://suzukaku-paint.com/column/post11111/
1液型塗料は、使用時に複数の塗料を混ぜ合わせる必要のない塗料です。缶を開けて水やシンナーで薄めれば、そのまま使うことができます。余った分も翌日にまた使えるメリットがあり、作業時間が抑えられます。コスト面では比較的安価ですが、耐久性や耐候性が2液型塗料よりも低いことがあります。
2液型塗料は、主剤と硬化剤に分かれていて、二つを混ぜ合わせて使う塗料です。強い塗膜ができ、雨や風などの影響を受けにくく、外壁を長期間守ることができます。しかし、混ぜる手間がかかり、一定時間内に使い切る必要があるため、1液型よりもコストが高くなります。高品質な仕上がりが期待できるため、大切な建物や大きな施設に向いています。
1液型塗料と2液型塗料については、下記のページで詳しく解説しています。
https://suzukaku-paint.com/column/post11870/
断熱塗料は、外部の熱の進入を防ぎ、内部の温度を一定に保つために設計された塗料です。この塗料には、ガラスやセラミックの微小な球体(ミクロスフェア)が含まれています。ミクロスフェアは、塗膜内で断熱層を形成し、熱の伝導を抑える役割を果たします。これにより、夏は室内を涼しく、冬は暖かく保つ効果があります。断熱塗料は、特に寒冷地や温暖地でのエネルギー効率を高めるのに適しており、省エネに寄与します。結果として、冷暖房の使用を減らし、エネルギー消費を抑えることができます。
遮熱塗料は、太陽光を反射することで表面温度を下げることを目的とした塗料です。特に赤外線を反射することで、建物の内部への熱の進入を防ぎます。これにより、夏場の冷房費を削減するのに効果的です。遮熱塗料は、主に屋根や外壁に使用され、建物の温度上昇を抑えるために利用されます。このタイプの塗料は、太陽光の熱を効率的に反射し、表面温度を低く保つことで、室内の温度を快適に保つ役割を果たします。
断熱塗料・遮熱塗料の製品として、塗料メーカー各社から下記のようなものが展開されています。
塗料製品名 | メーカー |
---|---|
ガイナ | 日進産業 |
クールタイト | エスケー化研 |
パーフェクトクーラーサーフ | 日本ペイント |
アレスクール | 関西ペイント |
スーパーシャネツサーモ | アステック |
SPパワーサーモ | 菊水化学工業 |
快適サーモ | 水谷ペイント |
シャネツロック | ロックペイント |
エコクール | 大日本塗料 |
窓ガラスの断熱・遮熱塗装については、下記のページで詳しく解説しています。
https://suzukaku-paint.com/service/window-glass-coat/
撥水塗料は、水を弾く性質を持つ塗料で、表面に水滴が付着しにくくなります。これにより、塗装面の汚れがつきにくく、清掃が容易になります。特に外壁や屋根、ベランダなどの建物の外部に使用され、水の侵入を防ぐことで、建物の劣化を遅らせる効果があります。撥水塗料は、通常、シリコーンやフッ素樹脂が含まれており、長期間にわたって効果を維持します。
防水塗料は、水分の侵入を完全に防ぐための塗料です。コンクリートや木材などの建材に使用され、水による劣化や腐食を防ぎます。屋根や外壁、地下室、浴室など、特に水に晒される部分に使われることが多いです。防水塗料は、高分子樹脂やエポキシ樹脂を基材とし、密着性が高く、耐久性に優れています。
光触媒塗料は、光の力を利用して有機物を分解する特性を持つ塗料です。二酸化チタンが主成分で、太陽光や蛍光灯の光を受けると、塗装面の汚れや臭い、細菌を分解・除去します。自己洗浄機能があるため、外壁や屋内の壁面に使用されることが多く、メンテナンスの手間を減らす効果があります。
ラジカル塗料は、塗膜の劣化を防ぐために開発された塗料です。酸化チタンなどのラジカル制御型の添加剤が含まれ、紫外線や酸素の影響を抑えて塗膜の寿命を延ばします。外壁や屋根などの建物の外部に広く使用され、耐候性が高く、長期間にわたって美観を維持する効果があります。
抗菌塗料は、塗膜に抗菌成分を含み、カビなどの菌の繁殖を抑える効果があります。医療施設や食品工場、家庭内のキッチンやバスルームなど、清潔が求められる場所に使用されます。銀イオンや銅イオンなどの抗菌物質が配合され、長期間にわたって抗菌効果を発揮します。
抗ウイルス塗料は、ウイルスの接触感染を防ぐための塗料です。漆喰を主成分とし、アルカリ性で多孔質構造の塗膜により、ウイルスを吸着し、その働きを抑制します。特に「アレスシックイ」と「スイスウォール」が代表的です。大阪大学の研究では、30分で99.6%のウイルス感染力を低減する効果が確認されています。また、調湿機能に優れ、快適な室内環境を保つことができます。
防カビ塗料は、カビの発生を防ぐための塗料です。防カビ成分が配合されており、湿気の多い場所や換気の悪い場所に使用されます。浴室やキッチン、地下室などで特に効果を発揮し、塗装面のカビを防ぐことで、健康被害を防止します。
クリア塗料は、透明な仕上げを提供する塗料で、木材や金属などの素材の自然な風合いを生かしつつ、保護効果を与えます。紫外線からの保護や、防汚効果があり、外部と内部の両方で使用されます。クリアコートとして、下地の色を保護し、長持ちさせるためによく使われます。
ラッカー塗料は、速乾性があり、光沢のある仕上がりを提供する塗料です。自動車や家具、楽器などに広く使用され、鮮やかな色彩と耐久性が特徴です。溶剤が含まれており、塗布後に速やかに乾燥し、硬い塗膜を形成します。ただし、揮発性が高く、塗装時には換気が必要です。
UVカット塗料は、紫外線を遮断する効果を持つ塗料です。紫外線による塗膜の劣化や色褪せを防ぐため、外壁や屋根、ウィンドウなどに使用されます。特に日光にさらされる部分に適しており、塗装面を長期間にわたって保護します。紫外線吸収剤や反射剤が含まれ、優れた耐候性を発揮します。
弾性塗料は、柔軟性があり、ひび割れを防ぐための塗料です。塗膜が伸縮するため、建物の動きや振動に追従し、ひび割れや剥がれを防ぎます。コンクリートやモルタルの外壁に使用され、耐久性と防水性を兼ね備えています。弾性ポリマーが含まれており、厳しい環境でも効果を発揮します。
エナメル塗料は、硬い仕上がりと高い光沢を持つ塗料です。家具や金属製品、工業製品に広く使用され、耐久性があり、美しい仕上がりを提供します。乾燥が速く、耐水性や耐油性にも優れています。エナメル塗料は、屋内外問わず、さまざまな用途に適しています。
セラミック塗料は、セラミック粒子を含む塗料で、優れた耐熱性と耐久性を持ちます。高温環境や厳しい条件下でも効果を発揮し、工業施設や自動車の排気系統などに使用されます。また、断熱効果もあり、建物のエネルギー効率を向上させることができます。
ハイブリッド塗料は、有機物と無機物の特性を組み合わせた塗料です。高い耐久性と柔軟性を兼ね備え、さまざまな環境条件に対応します。外壁や屋根、金属表面など、広範囲に使用されます。有機成分による柔軟性と、無機成分による耐候性を併せ持つため、長期間にわたって性能を維持します。
ハイブリッド塗料の製品として、塗料メーカー各社から下記のようなものが展開されています。
塗料製品名 | メーカー |
---|---|
水性クリーンタイトSi | エスケー化研 |
パーフェクトトップ | 日本ペイント |
ダイナミックMUKI | 関西ペイント |
無機ハイブリッドコート | アステック |
ラーテル | 菊水化学工業 |
ハイパーユメロック | ロックペイント |
エポキシ塗料は耐久性と防錆性に優れた塗料で、主に金属やコンクリート、木材など多様な素材への塗装に使用されます。エポキシ塗料の耐久年数は15~20年で、1平方メートルあたりの単価は3,000~5,000円程度です。その高い接着性と耐薬品性により、過酷な環境下でも長期間持続しますが、紫外線には弱いため、屋外で使用する際にはトップコートが必要です。これによりコストが上がることもありますが、トータルコストでは費用対効果が高いです。
以上、塗料の種類についてご紹介してきました。住宅や建築物の塗り替えでどの塗料を選ぶかは、用途や目的に合わせて慎重に考えることが大切です。基本的な塗料の知識を持った上で、塗装の専門家に相談して決めると良いでしょう。
塗りかえ鈴覚は、関西ペイント、菊水化学工業など、様々な塗料メーカーの塗料を使って、独自のおしゃれデザイン塗装をご提供しています。豊富な知識と経験を活かして、お客様に最適な塗料を提案しますので、どうぞお気軽にご相談ください。
私たち鈴覚は、21世紀の日本の塗装業界の健全発展を願って
『日本建築塗装職人の会』に加盟しています。
© 塗りかえ鈴覚